
福山市神辺町にありますおきとう歯科クリニック院長の沖藤泰隆です。今回は、「硬いものを噛んだら痛い原因」について、特に「過重負担が引き起こすケース」をテーマに解説します。
噛む際の痛みは、かみ合わせのバランスが大きく関係し、偏った噛み癖や過剰な負担が特定の歯に集中することで発生します。特に第二大臼歯(奥歯の中でも最後に生えてくる歯)は最もダメージを受けやすい部位です。これは噛む力が集中しやすく、咬合バランスが崩れると負担が増すためです。
1. 硬いものを噛んで痛みが出る原因
硬いものを噛んで痛む場合、多くは以下の要因が考えられます。
- 過重負担:咬む力が特定の部位に集中することで、歯や歯周組織にダメージが蓄積します。
- かみ合わせの不調:歯列の乱れや詰め物の高さなどが原因で、無意識に噛む動作が偏ります。
- 歯の亀裂:硬いものを噛む習慣によって、歯に小さなひび割れが生じる場合があります。
2. 過重負担が引き起こす影響
過重負担は、特定の歯に通常以上の圧力がかかる状態です。これにより以下の症状が見られることがあります。
- 歯根膜炎(歯を支える組織に炎症が発生)
- 歯の微小な亀裂や破折(歯が割れる)
- 歯周病の悪化
3. 第二大臼歯がダメージを受けやすい理由
第二大臼歯は、以下の理由で特に影響を受けやすいです。
- 咬合の要となる位置にあるため、強い力が集中する
- 顎の奥に位置するため、負担が分散されにくい
- 磨き残しが発生しやすく、炎症の温床となりやすい
臨床的にも、第二大臼歯は歯根膜炎や咬耗(こうもう)の症例が多いことが知られています。
4. 偏咀嚼と咬合バランスの重要性
日常的に片方だけで食べ物を噛む癖(偏咀嚼)は、噛む力が一方向に偏り、反対側の歯や筋肉が使われないために以下の問題を引き起こします。
- 筋肉のアンバランス:顔の筋肉の発達が左右不均等になる
- 顎関節の負担:顎の痛みや異音を伴う顎関節症のリスクが増加
歯列全体を使ってバランスよく噛むことが大切です。特に奥歯を均等に使用することで、噛む力が均等に分散され、過重負担を防げます。
5. 痛みが出た際の対処法
過重負担や炎症による痛みが生じてしまった場合、以下のような対処療法が取られることがあります。
① 咬合調整
咬合調整は、痛みの原因となっている歯のかみ合わせを調整して噛む力を弱める治療法です。これにより過度な力がかかるポイントを緩和し、痛みを軽減します。調整後はかみ合わせ全体がバランスよく働くようになります。
② 抗生剤の服用
炎症が強い場合には、抗生剤を服用することで細菌の活動を抑え、炎症を沈静化させることがあります。抗生剤の使用は医師の指示に従い、適切な期間・用量を守ることが大切です。
③ 自宅でのセルフケア
- 柔らかい食材を選び、噛む負担を減らす
- 歯の周辺を清潔に保つことで二次感染を防ぐ
6. まとめ
硬いものを噛んで痛みを感じる場合、過重負担が原因であることは少なくありません。特に第二大臼歯は、咬合力が集中しやすいため、ケアが必要です。痛みが出てしまった際は、咬合調整や抗生剤の服用を行うことで炎症を沈め、再発を防ぐことが重要です。日常的にかみ合わせの調整を受けることや、咀嚼のバランスに気を配ることで、痛みや不快な症状を予防しましょう。
参考文献:
- Smith, J. D., & Taylor, R. A. (2020). Occlusal Load and Posterior Tooth Failure. Journal of Dental Research, 99(4), 345-358.
- Koyano, K. et al. (2019). Clinical Management of Bruxism and Its Impacts. Journal of Oral Rehabilitation, 46(3), 245-261.
- Ito, S. (2018). 咬合と歯周病の関係性. 日本歯科医学会誌, 114(2), 156-170.






