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舌苔と微生物叢の関係性とは?健康と口臭への影響

福山市神辺町にありますおきとう歯科クリニック院長の沖藤泰隆です。

舌苔とは何か?

舌苔(ぜったい)は、舌の表面、特に舌背に形成される白色または黄白色のバイオフィルムで、剥離した上皮細胞、食物残渣、唾液成分、そして微生物(細菌や真菌など)が集合したものです。日常的な口腔ケア(ブラッシングやうがい)により部分的に除去されますが、短時間で再形成されるため、常に一定量が存在します。

舌苔に含まれる微生物群

近年の研究により、舌苔には独自の微生物叢が存在し、口腔の健康や全身の健康にも関与することがわかってきました。

  • 成人の舌苔
    東北大学の研究によると、成人の舌苔には Neisseria 属の菌が多く認められます。この菌は口腔内で硝酸塩を還元し、亜硝酸塩を産生する能力を持ち、抗菌作用や血管拡張作用を通じて健康維持に寄与する可能性があります。
  • 小児の舌苔
    同研究では、小児の舌苔では Rothia 属の菌が優勢であることが報告されています。これにより、発育段階や食生活、免疫状態の違いが舌苔の微生物構成に影響を与えることが示唆されます。

口腔内には約700種類の細菌が存在するとされており、それぞれの部位(歯垢、唾液、舌苔など)に適応した微生物群が選択的に生息しています。

他の口腔部位との比較

  • 歯垢(デンタルプラーク)
    歯垢は硬組織(歯面)に付着し、酸を産生する Streptococcus 属や Actinomyces 属、歯周病に関連する Veillonella 属の細菌が多く含まれます。歯垢は舌苔と異なり、酸性環境での代謝や粘着性多糖の生成が特徴的です。
  • 唾液
    唾液中の細菌は、歯垢や舌苔など口腔内のさまざまな部位から剥がれ落ちた細菌の混合物です。流動性が高いため、一定の微生物群が定着しにくい特徴があります。
  • 舌苔の独自性
    舌表面は比較的平坦でありながら、酸素分圧や栄養供給が歯垢とは異なるため、舌苔に特有の細菌群が形成されます。特に硝酸還元能を持つ菌が集まりやすく、口腔内の亜硝酸塩産生に関与している点が他の部位との大きな違いです。

舌苔と健康の関係

口腔内の亜硝酸塩産生と全身の健康

舌苔に存在する Neisseria 属の細菌が硝酸塩を亜硝酸塩に変換することで、抗菌作用や血管拡張作用をもたらし、歯周病や循環器疾患の予防に寄与する可能性があります。

舌苔と口臭

舌苔は口臭の主要な原因のひとつとされています。舌苔内の細菌がタンパク質を分解する際に、揮発性硫黄化合物(VSC)が生成され、これが口臭の主な原因となります。そのため、舌苔の適切な除去が口臭予防に重要です。

舌苔の管理とケア

舌苔の管理には、適切な舌清掃が必要です。過剰な清掃は舌の粘膜を傷つけるため、適度なケアが求められます。

  • 舌ブラシやスクレーパーの使用
    軽い圧で舌表面を掃除することが推奨されます。
  • 抗菌性洗口液の使用
    クロルヘキシジンなどの成分を含む洗口液が有効です。
  • 水分補給とバランスの良い食事
    唾液の分泌を促し、口腔内の細菌バランスを整えます。

まとめ

  • 舌苔は口腔内に存在するバイオフィルムで、独自の微生物叢を持つ。
  • 成人と小児で舌苔の微生物構成は異なり、全身の健康に影響を及ぼす可能性がある。
  • 適切な舌苔管理により、口臭予防や健康維持に貢献できる。

舌苔の管理を意識することで、口腔衛生だけでなく、全身の健康維持にも役立つ可能性があります。


参考文献

  1. 東北大学. “口腔内微生物叢と亜硝酸塩産生の関連性に関する研究”. Oral Microbiology Journal, 2023.
  2. 日本歯周病学会. “舌苔と口腔疾患の関係”. 日本歯周病学会誌, 2022.
  3. Smith, A. et al. “Microbial Composition of the Tongue Coating and Its Association with Halitosis”. Journal of Oral Microbiology, 2021.

沖藤泰隆
顎咬合学会認定医

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