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お口ぽかんと歯並びの関係|口呼吸に気づいたときの見方とプレオルソ・機能訓練

 

【概要】

お子さんの口がいつも開いている、いびきがある、食べ方が気になる。

こうしたサインは、単なるくせではなく、口の機能の育ち方と関係していることがあります。

今回は、お口ぽかんと歯並びの関係、受診の目安、当院で行う機能訓練やプレオルソの考え方を、保護者の方向けに整理します。

【要点3つ】

・お口ぽかんや口呼吸は、舌の位置や顎の育ちに影響し、歯並びの一因になることがあります。

・気になるサインは、食べ方、飲み込み方、発音、いびき、姿勢など日常の中に表れます。

・当院では、評価のうえで機能訓練と生活指導を基本にし、必要に応じてプレオルソも組み合わせて考えます。

【本文】

福山市神辺町にありますおきとう歯科クリニック院長の沖藤泰隆顎咬合学会認定医)です。

お子さんの口元を見ていて、気がつくと口が開いている。

食事に時間がかかる。

発音が少しはっきりしない。

寝ているときにいびきをかく。

そんな様子が続くと、保護者の方としては「成長の途中だから様子を見てもいいのかな」と迷われることがあると思います。

実際には、こうした変化の背景に、口の機能の育ち方が関係していることがあります。虫歯や歯周病のように見てすぐ分かる病気ではありませんが、食べる、話す、呼吸するという毎日の基本動作は、歯並びや顎の発育と静かにつながっています。

口の周りの筋肉、舌の位置、鼻で呼吸できているかどうか、飲み込み方に無理がないか。これらが整ってくると、歯が並ぶ土台も育ちやすくなります。反対に、お口ぽかんや口呼吸が長く続くと、舌が本来あるべき位置より下がりやすくなり、上あごに十分な力がかかりにくくなることがあります。その結果として、歯が並ぶスペースが狭くなったり、かみ合わせが乱れたりする一因になることがあります。

ここで大切なのは、「歯並びだけ」を見ないことです。歯並びは結果として表に見えている部分で、その背景には呼吸、舌の使い方、飲み込み方、姿勢、生活習慣が重なっています。つまり、前歯のがたつきや出っ歯だけを気にするより前に、口の機能を一緒に見直す視点がとても大切です。

では、どのようなサインに気づけばよいのでしょうか。代表的なのは、いつも口が開いている、お口が乾きやすい、食事中にくちゃくちゃ音がしやすい、飲み込むまでに時間がかかる、やわらかいものばかり好む、片側ばかりで噛む、さ行やた行、ら行の発音が不明瞭、寝ているときのいびき、指しゃぶりや舌を前に出すくせなどです。どれか一つだけで直ちに問題と決めつけるわけではありませんが、いくつか重なるときは、一度評価しておく意味があります。

特に見逃したくないのが、鼻づまりがないのに口呼吸になっている場合です。鼻で呼吸することは、単に空気の通り道の話ではありません。舌が上あごに自然に収まりやすくなり、口唇も閉じやすくなり、口の周りの筋肉のバランスが整いやすくなります。逆に口呼吸が続くと、舌が低い位置に落ち込みやすく、口唇閉鎖も弱くなり、乾燥しやすい口腔環境にもつながります。虫歯や歯肉炎のリスクだけでなく、歯並びやかみ合わせにも影響が及ぶことがあります。

もう一つ大事なのは、飲み込み方です。正しい飲み込みでは、舌が上あごに触れ、奥歯が安定し、無理の少ない動きになります。ところが、舌を前に突き出す飲み込み方が残っていると、前歯に余計な力がかかりやすく、開咬や前歯部の不正咬合につながることがあります。食べ方の問題が、実は歯並びや発音の問題とつながっていることも少なくありません。

当院では、こうした状態をみるときに、歯だけでなく全体を見ます。待合室での姿勢や表情、食べ方の問診、口唇の閉じ方、舌の動き、飲み込みの様子、歯並び、発音、必要に応じて舌圧や口唇閉鎖力などを確認しながら、今どこに負担があるのかを整理します。ここで大切なのは、保護者の方が日常で感じている違和感です。「食べるのが遅い」「いつも口が開いている」「寝相が悪くていびきがある」といった何気ない情報が、評価のヒントになります。

治療や支援の基本になるのは、機能訓練と生活指導です。舌の正しい位置を覚える練習、口を閉じる力を高める練習、飲み込み方の確認、吹き戻しやあいうべ体操のような口周りのトレーニング、食事姿勢の見直しなどを、年齢や状態に合わせて組み立てていきます。ここでの目的は、できないことを責めることではなく、口が本来の働きをしやすい環境をつくることです。毎日の積み重ねが大切なので、ご家庭で無理なく続けられる形に整えることを重視しています。

一方で、歯並びや口唇閉鎖、舌の位置づけを補助するために、プレオルソのような装置を検討することがあります。プレオルソは、お子さんの成長期に使うやわらかいマウスピース型の装置で、主に就寝時と日中の短時間装着を基本にします。装置の役割は、歯を力で大きく動かすことよりも、口周りの環境を整え、機能訓練を助けることにあります。舌の位置や口唇の閉鎖、鼻呼吸への移行を後押ししやすい点がメリットです。

ただし、プレオルソは装置だけで何とかする治療ではありません。装置を入れれば自動的にすべて改善するというものではなく、毎日の使い方、ご家庭での協力、生活習慣の見直し、必要な機能訓練があってこそ力を発揮しやすくなります。また、お子さんによって適応は異なります。歯並びだけでなく、口呼吸の背景にアレルギー性鼻炎や扁桃肥大が関わっている場合には、耳鼻咽喉科での評価が必要になることもあります。

ここで、機能訓練とプレオルソのメリット、注意点を整理します。

メリットとしては、まず早い時期に気づくことで、歯並びが大きく乱れる前に土台へアプローチしやすいことです。食べ方や発音、口唇閉鎖、鼻呼吸など、日常の困りごとが改善のきっかけになることもあります。お子さん自身が「できた」と感じやすい小さな課題から始められるのも利点です。

一方で、注意点もあります。短期間で大きな変化を約束できるものではありません。成長の個人差があり、継続も必要です。装置が合うお子さんもいれば、まずは生活指導と訓練を優先したほうがよいお子さんもいます。ですから、診断名だけで一律に同じ対応をするのではなく、今の状態に合わせた順番が大切になります。

保護者の方に知っておいていただきたいのは、「様子を見すぎない」ことです。もちろん、すぐに大がかりな治療が必要という意味ではありません。ただ、お口ぽかん、いびき、食べ方の偏り、発音の気がかりは、成長の途中だからこそ介入しやすい面があります。永久歯がきれいに並ぶかどうかだけでなく、将来まで見据えた食べる力、話す力、呼吸のしやすさにも関わるからです。

当院では、保険診療での機能管理を基本にしながら、お子さんの状態に応じてプレオルソの併用も含めてご提案しています。どちらか一方だけが正解なのではなく、お子さんにとって無理が少なく、続けやすく、意味のある方法を一緒に選んでいくことが大切だと考えています。

もし、口がいつも開いているのが気になる、いびきがある、食べ方や飲み込み方に違和感がある、歯並びも心配になってきたという場合は、早めにご相談ください。ちょっとした違和感の段階で整理しておくことで、その後の見通しが立てやすくなります。

まとめると、お口ぽかんは単なる見た目のくせではなく、呼吸、舌の位置、飲み込み方、歯並びとつながるサインであることがあります。大切なのは、歯だけを追いかけるのではなく、口の機能全体を見ることです。成長期のお子さんには、今だからこそできる支援があります。気になるサインがあれば、一緒に今の状態を確認し、必要な一歩を考えていきましょう。

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