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親知らずがスペースがないのにはえてくる理由とその対処法

福山市神辺町にありますおきとう歯科クリニック院長の
沖藤泰隆顎咬合学会認定医)です。

今回は「親知らずがスペースがないのにはえてくる理由とその対処法」についてお話しします。
「親知らずのトラブルがあるけど、そもそもなんで生えてくるの?」という疑問、ありませんか?
特に「スペースがないのに無理やり出てきた」「磨けないし、ずっと汚れがたまっている気がする」という方に、ぜひ読んでいただきたい内容になっています。

1. 親知らずはなぜスペースがなくても生えてくるのか

【概要説明】

親知らずは、顎にスペースがなくても「遺伝的プログラム」によって生えてきます。
これは進化の過程で役割が変わっても、生える指令がDNAに組み込まれているためです。

【本文】

親知らず(第三大臼歯)は、人類の進化の過程で「昔は必要だったけど、今はほぼ不要」となった歯です。しかし、「歯が生えるプログラム」は進化によってすぐに消えるわけではなく、私たちの遺伝子に組み込まれています。
かつて、狩猟採集生活を送っていた人類は、硬い食べ物を食べ、顎をよく使うため顎が大きく発達していました。このため、親知らずが生えるスペースも十分にありました。

しかし、現代では食生活の変化により顎が小さくなり、親知らずが生えるスペースが足りないことが多くなっています。それでも「歯を作る」「歯を生やす」プログラムは自動的に作動し、結果としてスペースがないところに親知らずが無理に生えてくることになります。


2. 現代人はなぜ顎が小さくなったのか

【概要説明】

現代人の顎が小さくなった理由は「食生活の変化」と「噛む回数の減少」です。
顎の成長は使い方次第で大きく左右されます。

【本文】

昔の人類は硬い食べ物や繊維質の多いものをよく食べていました。例えば、生の木の実や肉を噛みちぎるなど、顎を頻繁に使っていたため、顎が大きく発達しました。
ところが、農耕が始まり、さらに現代では加工食品が増え、食べ物がどんどん柔らかくなりました。
これにより、噛む回数が減り、顎が十分に発達しなくなったと言われています。顎の骨格が小さくなることで、歯が並ぶスペースが不足し、親知らずの居場所がなくなるのです。


3. 親知らずの歯磨きが難しい理由

【概要説明】

親知らずは奥まった場所にあり、ブラシが届きにくい構造になっています。
特に斜めや横向きに生えている場合は清掃が不可能に近いです。

【本文】

親知らずは口の一番奥にあるため、歯ブラシが届きにくく、しっかり磨くことが難しい場所です。
さらに、斜めや横向きに生えている親知らずは、歯の一部しか見えていなかったり、隣の歯と密着していたりすることがあります。
このような状態だと歯ブラシが入らず、結果として「磨いていない歯が口の中にずっとある」状態になりやすいのです。
そこはプラーク(歯垢)や歯石がたまりやすく、むし歯や歯周病の原因となります。


4. 親知らずによるトラブルとその症状

【概要説明】

親知らずの周囲でよく起こるトラブルは「むし歯」「歯肉炎」「隣の歯への悪影響」です。
放置すれば腫れや痛みを繰り返し、炎症が広がる危険性もあります。

【本文】

磨けない親知らずには次のようなリスクがあります。

  • むし歯
     親知らずが虫歯になっても気づきにくく、症状が出る頃にはかなり進行しています。

  • 歯肉炎・智歯周囲炎
     歯茎の炎症が進み、腫れや膿、口臭の原因にもなります。

  • 隣の歯へのむし歯や歯周病の波及
     親知らずが隣の第二大臼歯を圧迫し、むし歯や歯周病が進むこともあります。


5. 親知らずの抜歯が推奨されるケース

【概要説明】

親知らずを抜いた方がよい場合は「症状がある」「隣の歯への悪影響」「将来的なリスクが高い」などが該当します。

【本文】

以下の条件がそろった場合、抜歯が勧められます。

  • 痛みや腫れを繰り返している

  • 手前の歯(第二大臼歯)がむし歯や歯周病になっている

  • 磨きにくくて清掃不良が続いている

  • 嚢胞(のうほう)や腫瘍のリスクがある


6. 親知らずを抜かない場合のセルフケアと注意点

【概要説明】

どうしても親知らずを抜かない場合、徹底したセルフケアと定期的な歯科検診が必要です。

【本文】

  • ワンタフトブラシやデンタルフロスを活用して、親知らず周辺を丁寧に磨く

  • 1〜3ヶ月ごとの歯科検診でプロによるクリーニング

  • 症状がなくてもレントゲン撮影で経過観察
    ただし、自己管理が難しい場合は抜歯を検討した方が無難です。


7. まとめ

親知らずは、現代人の顎のサイズには合わなくなった「進化の名残り」です。
生えてしまった親知らずは、磨きにくく、むし歯や歯周病のリスクが高まります。
放置すれば隣の歯を巻き込んだ大きなトラブルを引き起こすこともあります。
早めの検診と、必要であれば抜歯を検討しましょう。


【参考文献】

  1. 佐藤達夫, 長谷川仁, 「親知らずの発育と抜歯の適応について」, 日本口腔外科学会雑誌, 第56巻第2号, 2010年, pp. 73-80.
    リンク

  2. Mavropoulos A, et al. “The Evolutionary Biology of Wisdom Teeth,” Journal of Evolutionary Dental Sciences, 2018; Vol. 7, Issue 3, pp. 456-463.
    リンク

  3. 小田康之, 「現代人の顎骨サイズと歯列不正の関係」, 日本矯正歯科学会誌, 第77巻第5号, 2019年, pp. 240-246.
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