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炎症で進行する仕組みと免疫細胞の働き〜体の中の戦いをのぞいてみよう〜

概要説明

炎症の裏側で起こる、免疫細胞たちの活発な働き。その種類と役割、炎症の段階ごとの進行、そして歯科との深い関わりまで、体内で繰り広げられる「見えない戦い」をわかりやすく解説します。


こんにちは。福山市神辺町にありますおきとう歯科クリニック院長の沖藤泰隆です。

前回の第1回では「炎症とは何か?」というテーマで、体が持つ自然な防御反応の基本をお話ししました。今回はもう一歩踏み込んで、「炎症が起きたとき、体の中では具体的に何が起きているのか?」という点を取り上げます。

炎症とは、実は免疫細胞たちによる壮大な戦いです。彼らがどのように集まり、どのように敵を排除し、そして修復を進めていくのか——。今回は、その「舞台裏」をご紹介します。


◆ 体の中の防衛軍:免疫細胞たちの種類

私たちの体内には、「自己(じぶん)と非自己(ばい菌など)」を見分け、外敵が入ってきたときに排除してくれる免疫細胞が多数存在しています。その中でも、炎症の現場で特に活躍する主な細胞をご紹介します。

● 好中球(こうちゅうきゅう)

  • 体内でもっとも多く存在する白血球。

  • 炎症の初期に、最前線に駆けつけて異物を貪食(どんしょく)=食べて消化。

  • 細菌と戦った後に**膿(うみ)**となって現れる。

  • 寿命は短い(数時間〜1日)けれど、数で勝負する「突撃隊長」。

● マクロファージ

  • 体の中をパトロールしている大型の細胞。

  • 異物や死んだ細胞を掃除。

  • 他の免疫細胞に「敵はここだ」と知らせる情報伝達役でもある。

  • 炎症初期から後期、そして修復段階にも関与する「ベテラン兵士」。

● リンパ球(T細胞・B細胞)

  • T細胞はウイルスに感染した細胞を直接攻撃。

  • B細胞は抗体をつくって、異物に「タグ」を付ける。

  • 過去に遭遇した病原体を記憶することで、再感染時の即応に役立つ。

  • 高度な判断ができる「参謀本部」のような存在。


◆ 炎症の進行プロセス:ステージごとの変化

炎症は、単なる「腫れや痛み」ではなく、体の中で起こる段階的なプロセスです。以下のような段階をたどります。

① 認識:敵の侵入を感知

  • 傷口や感染により、細胞がダメージを受ける。

  • その周囲の細胞から「助けて!」という炎症性メディエーター(ヒスタミン、サイトカインなど)が放出される。

② 血管の変化

  • 血管が拡張 → 赤くなる(発赤)

  • 血管の壁が緩む → 成分が漏れ出て腫れる(腫脹)

  • 白血球が血管壁にくっつき、外へとにじみ出る(遊走)

③ 白血球の集結と戦闘

  • 好中球が最初に到着し、細菌を食べる。

  • 戦いの中で発生する化学物質が痛みを誘発(疼痛)

  • 徐々にマクロファージやリンパ球も集結し、全体の防衛が強化される。

④ 終息と修復

  • 異物が排除されると、炎症は徐々に沈静化。

  • マクロファージが残骸を掃除し、修復の指令を出す。

  • 血管の状態も正常に戻り、細胞が再生されていく。


◆ サイトカインとケモカイン:情報の伝書役

炎症の現場では、「サイトカイン」や「ケモカイン」といった情報伝達物質が飛び交っています。

● サイトカイン(例:IL-1、TNF-α、IL-6)

  • 他の細胞に「助けに来て!」という信号を出す。

  • 発熱や倦怠感の原因にもなる。

● ケモカイン

  • 免疫細胞を目的地に「誘導」する役目。

これらがうまく働くことで、必要な場所に必要な細胞が集まり、効率的に戦いが進んでいきます。


◆ 慢性化とその危険性

炎症は通常、数日〜1週間ほどで治まる一時的な反応ですが、原因が取り除かれない場合や、制御がうまくいかない場合には「慢性炎症」に進行します。

  • ずっと続く軽度な炎症が、体にとって負担になる。

  • 周囲の健康な組織を壊してしまう(例:歯周病で骨が溶ける)

  • がん、糖尿病、動脈硬化などの慢性疾患の原因にも関係。

つまり、炎症は強すぎても弱すぎてもダメという、絶妙なバランスが求められる反応なのです。


◆ 歯科と炎症:見えないところで進む戦い

歯ぐきの腫れや出血が起きているとき、そこではまさに免疫細胞たちの戦いが起きています。

  • プラークや歯石の中に潜む細菌が、歯ぐきの中へ侵入。

  • 好中球やマクロファージが集まり、細菌と応戦。

  • しかし、清掃が不十分で刺激が続けば、炎症が慢性化。

このように、**歯周病は「見えない炎症」**ともいわれます。日々の歯みがきで炎症の原因を減らすことは、体全体の健康にもつながるのです。


◆ まとめ:体内の炎症は免疫細胞たちのドラマ

炎症の舞台裏では、数えきれない免疫細胞たちが連携し、まさにチームプレーで私たちの体を守っています。彼らの働きがあるからこそ、私たちは病気にかかっても回復できるのです。

しかし、炎症が長引けば健康をむしばむ「見えない火種」ともなります。だからこそ、早めの対処や予防が重要です。

次回の第3回では、炎症が全身に及ぼす影響——たとえば発熱、倦怠感、そして慢性疾患との関連など、「炎症が体全体に与える波紋」をテーマにお届けします。

どうぞお楽しみに!


📚 参考文献

  1. 木下優子(2019)『炎症と免疫細胞のネットワーク』日本免疫学雑誌 42:201-208

  2. 中村浩一(2021)『慢性炎症と疾患の関連性』日本内科学会雑誌 110:234-240

  3. 高橋洋平(2020)『歯周病と免疫反応』日本歯周病学会雑誌 61:112-118


沖藤泰隆
顎咬合学会認定医
https://okito-dental.com/clinic/dr.php

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